思いつくままに









40年間に亘り網膜芽細胞腫の診療に携わって‥‥。
 すくすく(網膜芽細胞腫患児の親の会)20周年記念誌寄稿 → こちらから(PDFダウンロード)












エッセイ「私の見果てぬ夢」
 「日本の眼科」85:2号(2014年)抜粋 → こちらから(PDFダウンロード)
        (2014.2.20 発行)












平成23年度新春随想
 「わが人生最良の日々」(「日本の眼科」82:1号(2011年)抜粋 → こちらから(PDFダウンロード)












眼部腫瘍性疾患の診療に携わって。
 (Practical Ophthalmology 2000(Vol 59)より抜粋 → こちらから(PDFダウンロード)















退職して思うこと
 (国立がんセンターニュース 第230号(2005年5月)抜粋→こちらから(PDFダウンロード)











全身麻酔に関する問題

 網膜芽細胞腫の診療に40年近く携わってきましたが、患児が3歳以下の乳幼児がほとんどであるため、何をするのにも全身麻酔が必要となるので、その問題が治療そのものより、大きな苦労でした。 欧米先進国では外来の全身麻酔(日帰り全身麻酔)が発達していて、あまり問題なく検査や治療が迅速に行われているのは、実にうらやましいかぎりです。 2003年パリで開催された網膜芽細胞腫の国際シンポジウムに参加した際に、日帰り全身麻酔の実態を見学させていただいたところ、2時間に11名の患児の眼底検査とレーザーや冷凍凝固の治療が、効率よく円滑に行われていたのには感心しました。 麻酔医は1名、麻酔専門の看護師が1名、外回りの看護師2名、掃除を行う人が1−2名(この人はほかの部屋の掃除もしている)居たと思います。 網膜芽細胞腫は網膜のあらゆる場所から発生し、特に年齢が上になると、新生腫瘍は網膜周辺部から出ます。 眼底の周辺は球面の手前側の内側なので、眼底検査では死角となり、見ることが出来ないのですが、外から押し込むと観察が可能になります。しかし眼球を押されるとかなり痛みがありますので、小児の場合どうしても麻酔が必要です。 日本では麻酔医が十分にいないため、手術の件数を減らさないためには、この程度の検査のためにだけ、麻酔をかけてもらうことは不可能に近い状況です。 泣き叫ぶ小児をバスタオルで巻いて手足が邪魔にならないようにして、大人二人で押さえつけて検査を行っています。 特に最近日本では全国的に麻酔医の不足が大きな問題になっています。 麻酔の健康保険診療における点数は、一件につき5万円ですか、2時間で11名を行えば55万円稼げるのですから、家庭に戻っている元麻酔医の女医の方々には、ぜひ職場復帰して、このような日帰り全身麻酔にご協力いただけると有り難いのですが−−−。
(2005.7.24)















ある大学病院から学会報告された眼窩内容除去手術について

 今年で第23回となる日本眼腫瘍研究会は新潟市で開催された。 ある大学病院から問題の多い報告があったので紹介する。 患者は68才の女性で、結腸癌があり手術され、肝臓転移も有るため化学療法を受けていた。彼女には片眼に可成り広範囲な結膜の悪性黒色腫があり、眼窩内容除去を行ったと報告していた。 このような場合は結腸癌の肝転移があり、生命の予後が悪いのであるから、眼部の眼瞼と眼球を全て取り除く眼窩内容除去と呼ばれる、肉体的精神的に侵襲が大きい手術を行う必要性は全くないと思われた。 このような場合は、結膜上の腫瘍だけを、冷凍凝固や炭酸ガスレーザーで消失させる治療法で十分であり、患者の生活の質(QOL)が良く維持できる、残された数年の人生を美しく生きられたのではないだろうか−−−。
 眼腫瘍に関しても関心が高いこの大学の教授が、このような治療方針を取るとは、何を考えて診療や教育をしているのかと考えるとまったく嘆かわしい事である。
(2005.7.21)