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よくあるご質問(2)

網膜芽細胞腫の眼球を残す治療には、生命の危険は無いのか?



  未だ小さなお子様が網膜芽細胞腫の診断を受けて、命を守るためには眼球を摘出して義眼にしなければいけないと医師に宣告された場合、ご両親の心痛は大変なものです。 確かに片目だけがかなり進行した網膜芽細胞腫で、反対側の目が正常の場合には、眼球摘出は現在でも最も無難な治療法であることも事実です。
 眼球を残してもかなり進行した状態では視機能の回復は難しく、しかも眼球を残せる可能性もそれほど高く無いからです。しかも容貌の点から義眼にしないためにきつい治療を受けたのに、最終的に摘出になると、何も治療をしないで摘出した場合より義眼が目立ちやすいと言う皮肉な結果に成ってしまいます。 
 しかし、全身的化学療法を行うと意外にも薬がよく効いて、腫瘍が消失してしまう場合も日本では経験しています。
薬による治療は放射線治療と違って、顔の変形を生じたりする後遺症はないので、場合によっては試みる価値はあります。

 生命に対する危険についてですが、図に示すように、国立ガンセンター病院で治療した患児で、眼球保存治療したために、生存期間が短くなる場合はありませんでした。



T3群片眼性網膜芽細胞腫の初回治療別生存率